※このページは管理人の購入した音盤記録＆批評のページです。
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さて待ちに待ったレディオヘッドの新作・・・なのですが、正直あんまり面白いとは思えませんでした。「現代唯一のプログレバンド」なんて言われている通りのもの凄い変拍子や暗くて重くてでも心に残るメロディとかはいつも通り素晴らしいのですが、それ以上のものが何もないというか。まぁつまり「いつも通り」なのです。いつも通りの曲調、いつも通りのクオリティ。だもんで前2作の様な何か変わった部分を求めると「つまんねー」になるんでしょうな。

これは結局「レディオヘッドのアルバムだから」と過剰に期待しちゃってる私がいけないのかもしれません。だって例えばピストルズなんかがアルバム出したとて、それが「勝手にしやがれ」と同じようなものじゃなかったらガッカリするじゃないですか。それに対してレディオヘッドはアルバム毎に何か進化を期待してしまうバンドなワケで。で今回それがなかったから私は「つまんないなー」と思ってるわけですよ。そういった意味では今作はいつも通りのハイ・クオリティな楽曲だし、其れなりに素晴らしい作品だとは思うのです。私は音楽を点数で評価するのは好きじゃないけど、例えば10段階評価だとして、このアルバムは6点くらいだと思います。でもレディオヘッドのアルバムは他のバンドと違って1〜10点の間じゃなくて5〜10点の間で評価してしまうんですよ。だから6点でも「酷いなー」になっちゃうというか。・・・どちらにしてもレディオヘッドは大変なバンドでございますよ、いあホントに。

で、じゃぁこのアルバムはレディオヘッド採点方式（←いつの間に命名？！）に従って「駄作」なのかと言うとそう言い切れない部分もありまして。何故かと申しますと、なんちゅうかこう、聴いててもの凄く楽しそうなんですよね、演奏が。勿論曲調はドン暗いんですが。（笑）今まで「トム・ヨーク・バンド」として耳に入って来ていたレディオヘッドが初めてバンドに聞こえたというか。ちゃんとベースもドラムもギターもシンセ類もトムだけの音では無くて別の人の音がする。みんなでわいわい作ってる感じでそれがとても宜しいのです。まぁ最初の曲「2+2=5」の盛り上がりの演奏はどうなのかというツッコミもあるけど。（苦笑）・・・トム・ヨーク以外の音が入ってきてしまった事が今作ダメな原因かもというのは皮肉な事なのかも知れないけど、それでもそれはこのアルバムの「強み」ではあると思います。それが私がこのアルバムを駄作と言い切れない理由です。

曲としてはそうですね・・・取り敢えず最初の2曲は静と動を繰り返す感じです。個人的には「Backdrifts」とか好きです。まぁ、「Kid A」からファン派なので。（苦笑）後は「We Suck Young Blood」なんかのちょっと抜けた様な合いの手拍手なんかも好きなんですが。（笑）シングルの「There There」はバンドらしい曲なんだけど私の中ではあんまりパッとしませんでした。むしろ最後の曲「A Wolf At The Door」の方が印象的だったかな。

このアルバムを聴いて思ったのは取り敢えずトム・ヨーク・バンドではなくなったなぁ、凄いバンドにありがちな「スター選手とその他」みたいなものはなくなったなぁというか。今作は自己満足かと言われたらそうかもしれないけど、それでもいいんじゃないかなぁと思ったアルバムでございました。
（2003/08/01）

＜音盤データ＞
レディオヘッド「ハイル・トゥ・ザ・シーフ」
2003年6月発売
Capital / EMI
US盤 / Non CCCD

＜曲目＞
01,2 + 2 = 5(The Lukewarm.)
02,Sit down. Stand up.(Snakes & Ladders.)
03,Sail to the Moon.(Brush the Cobwebs out of the Sky.)
04,Backdrifts.(Honeymoon is Over.)
05,Go to Sleep.(Little Man being Erased.)
06,Where I End and You Begin.(The Sky is Falling in.)
07,We suck Young Blood.(Your Time is up.)
08,The Gloaming.(Softly Open our Mouths in the Cold.)
09,There there.(The Boney King of Nowhere.)
10,I will(No Man's Land.)
11,A Punchup at a Wedding.(No no no no no no no no.)
12,Myxomatosis.(Judge, Jury & Executioner.)
13,Scatterbrain.(As Dead as Leaves.)
14,A Wolf at the Door.(It Girl. Rag Doll.)